化学物質過敏症(Chemical Sensitivity,略CS) |
身の回りに存在する極微量の化学物質に反応して、身体及び精神に様々な障害が引き起こされる症状を化学物質過敏症(CS)と呼びます。通常、CSを発症する人は、多種類の化学物質に反応するため、多種化学物質過敏症(Multiple
Chemical Sensitivity,略MCS)と表現することもあります。化学物質過敏症(CS)は、発症後、通常は反応しないであろう超微量の化学物質に反応するようになることから、このような命名が広く一般に使用されています。 しかし、化学物質過敏症(CS)の発症は基準値以上の化学物質を摂取することによって引き起こされることが多く、この発症の原因である基準値以上の有害化学物質に注目して(印)、化学傷害(Chemical Injury,略CI)と表現するのが適切だとする考えもあります。 上の図のように、健康体であっても、化学物質過敏症(CS)であっても、私たちは(特に都市部では)日頃から化学物質に曝されています。例えば、新建材などのホルムアルデヒドやトルエンなどの化学物質、職場でのタバコによる煙害、塗料の有機溶剤、車の排ガス、農薬、合成洗剤、食品添加物、殺虫剤、芳香剤など生活のあらゆる場面に化学物質は使用されています。気をつければ避けられるものもあれば、車の排ガスのように避けられないものもあり、化学物質に曝されずに生活することはほとんど不可能です。このような生活を強いられている現代生活の中で、化学物質過敏症(CS)について意識することは非常に重要です。 |
症状 |
症状は目、耳、鼻、のど、肌、内臓、脳、神経、精神状態など身体のあらゆる部分にあらわれます。すなわち、「具合が悪い」・「いつもと違う」と感じたら化学物質過敏症(CS)を疑ってみる必要があります。ただし、化学物質過敏症(CS)は現在研究段階で発症のメカニズムなど十分に解明されておらず医学界でも意見が分かれているようですので、専門の医師に診断してもらうのがよいと思われます。 |
原因 |
あらゆる化学物質が原因と考えられ、特にシックハウス、シックビル症候群と言われるように新築の新建材などの有害化学物質が問題となっています(接着剤に含まれるホルムアルデヒド、塗料のシンナー類など)。また、業務や家庭で使用される殺虫剤・農薬、職場でのタバコによる煙害、さらに大気汚染も原因と考えられています。しかし、発症の原因が特定されないことも多くあり、その発症のメカニズムの究明が急がれています。 |
発症後の反応物質 |
化学物質過敏症(CS)を発症すると、その後は日常にあふれる超微量の化学物質に反応するようになります。反応物質は全ての化学物質及び天然物質、日光、電磁波など個人差があります。 |
アレルギーとの違い |
アレルギーは、ある人にとっては無害または有益であるものが、ある特定の人にとっては過敏に反応してしまう症状のことをいいます。そのため米・牛肉・大豆・卵など通常大切な栄養源となるものがアレルギーを引き起こす物質(アレルゲン)となることがあります。 化学物質過敏症(CS)も通常は反応しないものに過敏に反応するという点ではアレルギーと類似しているといえます。しかし、アレルギーの原因物質が通常は無害または有益であるのに対し、化学物質過敏症(CS)はその原因である化学物質が全ての人にとって少なからず有害であるということがアレルギーと大きく違うところです。 以上のことからわかるように、アレルギーの場合は、アレルゲンをいくら摂取しても発症しない人は発症することはありませんが、化学物質過敏症(CS)は全ての人に発症の可能性があります。 |
対策 |
化学物質過敏症(CS)を発症しないようにするには、とにかく化学物質に触れる機会を少なくすることです。ただし、化学物質は生活のあらゆるところで使用されていて、思わぬところで化学物質の被害を受けることがありますので、個人個人が化学物質に対してある程度の知識を持つことが必要だと思います。「化学物質過敏症(CS)を発症している」と感じられたら、速やかに専門の医師の診断を仰ぐことが必要です。 日常生活において、化学物質を遮断して生活することは不可能だと考えられます。たとえ家の中をクリーンにしても、学校や職場は化学物質であふれています。また、外に出るだけで大気汚染にさらされます。このような状況の中で化学物質過敏症(CS)患者は多くの不便を強いられることになります。 |